1 「安定」
世の中のため、社会的に必要不可欠な仕事
介護職に関する6つのキーワードの1つ「安定」について。
複数の介護事業所を運営する「介護業界のプロ」に介護職の安定性や将来性について聞きました。
介護職は安定した職業だというイメージがありますが、本当ですか?
介護職は最も安定した仕事の1つだと思いますよ。
1つは、介護サービスを受ける方=高齢者の方が、これから増えるからです。
高齢化社会と言われていますよね?
はい。
介護が必要になる高齢者(65歳以上)の方は、今の日本に3,400万人います。
日本の人口が1億2,000万人なので、4人に1人が高齢者ということです。
これから、どれぐらい増えるんですか?
2035年には3人に1人、2065年には2.6人に1人が高齢者になると予測されています。
介護サービスを必要とされる人が、どんどん増えていくんですね。
介護を受けたい人は年々増えているのですが、介護職は人手がまだまだ足りていません。
ですので、介護職員は全国的に、どこも引く手あまたです。
10代や20代で介護職を始める方も増えていると聞きます。
この世代が50代、60代になったときも、この状況は続きますか?
高齢者の割合は、2020年から2065年にかけて1.5倍になります。
今の20代が60代になるまで、介護職はニーズの高い仕事のままだと思います。
高齢者が増えているのに、介護職員が増えないと、かなり大変ですよね?
そうです。
国としても、大きな課題なので、介護職員の待遇を改善して、人手確保を急いでいます。
具体的には、国はどんな動きをしているですか?
介護職に人が集まっていない要因の1つが「低賃金」という結果が出ています。
国が手当を出して、介護職員の給与を上げる動きを後押ししています。
全業種の平均給与水準に比べると、介護職は給与が低いというデータがありますね。
現状はそうですが、年々給与水準は上がっています。
事務や販売職などより、給与の上昇率は高いんですよ。
これからも上がっていく見込みですか?
全業界の平均賃金ぐらいまでは上がっていくのではないでしょうか?施設によっては、年収400万円を上回るような介護職の人も増えてきています。
安定した仕事、という意味では、景気の影響なども、受けにくそうですね。
そうですね。
施設で生活をする入居施設であれば、利用者の方が家の代わりに施設で生活をするので、不景気だから退去される、ということはあまり考えられません。
不景気だから、家に住まない。
ということは、無いですもんね。
おっしゃるとおりです。
逆に、景気が良くなったから儲かる、ということもありませんが。
上下の波がない、ということが「安定」と言えるのかもしれませんね。
コロナの影響は、ありましたか?
感染予防を徹底するなど、仕事のしかたは変わりましたが、経営や雇用については、国のサポートもありコロナの影響はほとんど受けていません。
飲食店やホテルなど、行動制限で影響を受けた職種も多い中、介護職は解雇の話など、聞かないですね?
はい。
逆に、飲食店や自動車の製造業など、コロナで逆風になった職種の方々が、介護職に就くケースも増えていますね。
景気や社会の影響を受けにくいのは、社会に不可欠な仕事だから、という面がありそうですね。
コロナ禍で言われるようになった「エッセンシャルワーカー」そのものですね。
これから増える高齢者の老後の人生をサポートするという意味で、世の中のために必要不可欠な仕事です。
若い世代で、介護職を目指す人も増えていると聞きました。
10代、20代の方は、安定した仕事というのはもちろんですが、「人の役に立つ仕事をしたい」という方が、かなり多い実感があります。
「将来的に安定していて、人の役にも立てる仕事」という軸で仕事を探している方にとっては、介護職はとても向いていると思います。